モリー先生との火曜日を読む

モリー先生との火曜日を読む

英会話がそこそこ出来るようになったら、英文を読むべし。そうすれば、英会話のレベルが伸びる。

確かに、ある程度英会話が出来るようになると、いつも決まった言い方しかしていない自分に気がついたりします。それを打破するのは洋書を読むのは効果的かもしれません。

でも洋書のハードルは高いですよね。

振り返ってみると、僕の場合、メールを読んだり英字新聞を読んだりしてきましたが、まだまだ洋書の小説は難しいと感じます。

日本語の小説でも、何を言っているか分からないことも多いし、あえて作者が分からないように書いている場合もあるので、難しく感じるのはまあ仕方ないことなのかも知れません。

そうは言うものの、僕はやさしい英文から、いわゆるラダーシリーズみたいな物からはじめました。

中には面白い物もあったし、すぐ読むのをやめてしまった物もありました。

tuesdays with Morrie

そうこうして、とうとうフツーの洋書を初めて読み切ったのは、「tuesdays with Morrie」でした。

たしか書店に置いてあったその本には、Toeic470程度と帯が、、、。

「Toeic470なら読めるかもしれない・・・」

そんな気がして買った本だったけど、内容を理解するのはもう少しレベルが高いような気がしつつもなんとか読破することができました。

もう10年以上前のことです。

そんな事も遠い記憶になりつつある先日、日本語の翻訳版である「モリー先生との火曜日(ミッチ・アルボム 著、別宮 貞徳 訳、NHK出版)」を読んでみたんです。

とっても良かったです、日本語版!

同時に、英語版で読んだつもりになってたけど、全然読めていなかったことに少しガッカリ。

まあ、この本のテーマは「死」だから、原書を読んだ当時の僕よりも今の方が、「死」に親しんでいるから感動の度合いが違うとも言えますけど。

でもやっぱり一流の翻訳家は違いますねぇ

さてこの小説は、映画にもなったのでご存知の方も多いと思いますが、

『モリー先生との火曜日』(原題:Tuesdays with Morrie)はアメリカのジャーナリストのミッチ・アルボムによって書かれたノンフィクションである。難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されたモリー・シュワルツ教授が、死を前にして、かつての教え子であるミッチに贈った「最後の授業」を記録したもので、1997年にアメリカで出版されベスト・セラーとなった。2000年、ニューヨーク・タイムズによるノンフィクション・ベストセラーの一つに選ばれた。

という本です。

とても素敵な会話や言葉が書かれているので、原書ではどんな英語だったのか調べてみました。

きっといつか自分の英会話の中で生かせるよね。

まず、モリー先生がALSで余命二年と宣告された時に自分に問う言葉。

希望をなくして消えていくか、それとも残された時間に最善を尽くすか――

Do I wither up and disappear, or do I make the best of my time left?

wither up:枯れる、やつれ果てる、衰退する

次は、モリー先生が今の世相というか文化について、語った会話から。

そう、一つにはね、われわれのこの文化が人びとに満ち足りた気持ちを与えないっていうことがある。われわれはまちがったことを教えているんだよ。文化がろくな役に立たないんなら、そんなものはいらないと言えるだけの強さを持たないといけない。自分の文化を創ること。多くの人にはそれができない。私よりよっぽど不幸だよ――こんな状態の私より。

Well, for one thing, the culture we have does not make people feel good about themselves. We’re teaching the wrong things. And you have to be strong enough to say if the culture doesn’t work, don’t buy it. Create your own. Most people can’t do it. They’re more unhappy than me—even in my current condition.

対立物の引っ張り合いの話。

「人生は、前に引っ張られたり後ろに引っ張られたりの連続なんだよ。何か一つのことをやりたいのに、ほかのことをやらないわけにいかない。何かに腹を立てる、しかし、それがいけないことはわかっている。あることをこんなもんだと考える。あっさり片づけるべきでないとわかっていても。

 対立物の引っ張り合い。ゴム紐を引っ張るようなもんだ。人間はたいていその中間で生きている」

“Life is a series of pulls back and forth. You want to do one thing, but you are bound to do something else. Something hurts you, yet you know it shouldn’t. You take certain things for granted, even when you know you should never take anything for granted.

“A tension of opposites, like a pull on a rubber band. And most of us live somewhere in the middle.”

  • be bound to:~しなければならない、~する運命にある
  • hurt:感情を害する
  • for granted:当然のように

まるでレスリングのようだ。どちらが勝つかと問うミッチに対して、モリー先生。

「そりゃ愛さ。愛はいつも勝つ」

“Love wins. Love always wins.”

死についてモリー先生が語った言葉。

いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べる

Once you learn how to die, you learn how to live.

次は老いについて。

僕ももう若くないので、モリー先生のこの会話よく噛みしめたい。

老化はただの衰弱じゃない。成長なんだ。やがて死ぬのはただのマイナスとは片づけられない。やがて死ぬことを理解するのは、そしてそれによってよりよい人生を生きるのは、プラスでもあるわけだ。

Aging is not just decay, you know. It’s growth. It’s more than the negative that you’re going to die, it’s also the positive that you understand you’re going to die, and that you live a better life because of it.

  • decay:腐る、腐敗する、衰弱する

そして、僕が一番気に入ったモリー先生とミッチの会話。ちょっと長いけど引用しましょうね。

先生、もし申し分なく健康な日が一日あったとしたら、何をなさいますか?

「二十四時間?」

ええ、二十四時間。

「そうだな……朝起きて、体操して、ロールパンと紅茶のおいしい朝食を食べて、水泳に行って、友だちをお昼に呼ぶ。一度に二、三人にして、みんなの家族のことや、問題を話し合いたいな。お互いどれほど大事な存在かを話すんだ。

 それから木の繁った庭園に散歩に出かけるかな。その木の色や、鳥を眺め、もうずいぶん目にすることのできなかった自然を体の中に吸収する。

 夜はみんなといっしょにレストランへ行こう。とびきりのパスタと、鴨と―――私は鴨が好物でね。そのあとはダンスだ。そこにいるすてきなパートナー全員と、くたくたになるまで踊る。そしてうちへ帰って眠る。ぐっすりとね」

それだけですか?

「それだけ」

What if you had one day perfectly healthy, I asked?

What would you do?

“Twenty-four hours?”

Twenty-four hours.

“Let’s see . . . I’d get up in the morning, do my exercises, have a lovely breakfast of sweet rolls and tea, go for a swim, then have my friends come over for a nice lunch. I’d have them come one or two at a time so we could talk about their families, their issues, talk about how much we mean to each other.

“Then I’d like to go for a walk, in a garden with some trees, watch their colors, watch the birds, take in the nature that I haven’t seen in so long now.

“In the evening, we’d all go together to a restaurant with some great pasta, maybe some duck—I love duck—and then we’d dance the rest of the night. I’d dance with all the wonderful dance partners out there, until I was exhausted. And then I’d go home and have a deep, wonderful sleep.”

That’s it?

“That’s it.”

  • mean:大事である、大切である

素敵な会話ですよね。

何度も読み返してみようと思っています。

それでは、また次回!

See you next time!

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