EXIT SEATING
久しぶりに、国内線の飛行機に乗った。
帰りの飛行機のチェックインをする時、例によってオシッコが近い僕は、
「通路側は空いてますか?」
「えーと、非常口のところのシートなら空いていますが、非常時にお手伝いいただけますか?」
「ええ、いいですよ」と僕。
すると、係のお姉さんは航空券に1枚の紙をホチキスでガチャリと止めて、僕に渡してくれた。
その紙は、” 非常口座席のお客様へ ”と書かれていて、裏面は英文だ。
IF YOU ARE ASSIGNED TO AN EXIT ROW SEAT……
You will be required to assist our crew members in the case of an emergency evacuation.
Our crew members will provide you the directions to perform some of the following tasks.非常口に接している列の座席にお座りのお客様には、万一の場合、緊急脱出時の援助をお願いします。
援助の内容は、援助が必要となった時、以下のような項目の中から、乗務員が具体的に指示させていただきます。
と書いてある。(assign:割り当てる、emergency evacuation:緊急避難、direction:指示)
その紙を見た時、
数年前 ロンドンーフランクフルト線で 同じように非常口近くのシートに座った時のことを思い出した。
その時も、通路側は非常口近くのシートしか空いていなかった。
ただ、英語で緊急脱出時の援助が出来ることが条件として書かれていた。
まあいいや、と自動チェックイン機で発券して飛行機の座席に座った僕に、スチュワーデスが近づいてきて
「非常時は英語でお客様の脱出のサポートをしてくださいね」
というようなことを言われ、
「Okay!」
と、さもできそうな返事をしたのだった。
でも、その飛行機に乗っているのはほとんどが西洋人。
「ほんとに緊急事態が発生したらどうなるんだろう?」
と考えているうちに、フランクフルト空港に着陸した。
さっきガチャリとホチキスで止められた紙には、協力する内容が書いてある。
・Keep other passengers away from the Emergency Exit Door until the crew member securely opens it.
・Follow the crew members’ instructions. Open the Emergency Exit Door after confirming the safety outside the aircraft.
・After the escape slide fully inflates, have other passengers evacuate as quickly as possible.
・Assist other passengers after evacuating from the aircraft.
・Direct other passengers to move away from the aircraft immediately.
・Others (Crew members will instruct other tasks when they are necessary.)・乗務員が非常口を完全に開放するまでの間、他のお客様を制止すること
・乗務員の指示に従い、機外が安全であることを確認して非常口を操作し開放すること
・脱出スライドが膨らんだ後、他のお客様を速やかに脱出させること
・脱出スライド又は脱出口下において後から脱出する他のお客様を援助すること
・速やかに機体から離れて遠くへ避難するよう声をかけること
・その他(必要に応じ、乗務員が具体的に指示させていただきます)
(securely:しっかりと、inflate:膨らむ、immediately:直ちに)
やはり日本でもスチュワーデスのお姉さんが、僕の所へやってきて
「緊急時には、援助をお願いします。座席のポケットにある安全のしおりをよく読んでおいてください」
と言うのであった。
もし、僕が外国の飛行機で非常口の近くのシートに座った時の日本版を想定すると、、、
つまり、日本の飛行機に片言の日本語を話す外国人が 非常口近くのシートに座った時に、万一非常事態が発生したら、、、
乗務員が非常口を開けるまでの間、
「ちょっと待ってくださーい。あなたは神を信じますか?」
なんて言って、パニックで非常口に殺到する日本人たちを制止するのだろうか?
「確かに、その時こそ神を信じる 状況かも知れない、、、」
などと考えていたら羽田空港に着陸した。