ロン・カーターのインタビュー

ロン・カーターのインタビュー

もう随分前ですが、 NHKテレビで「トップインタビューに学ぶ!自分を語る表現術」なる英会話講座がありました。講師はマーシャ・クラッカワーさん。
手元にあるテキストを見てみると2010年6月号とあるから、もう7年も前です。

振返ってみるとあの当時、マーシャ・クラッカワーさんが講師になっているNHKの英会話講座は、非常にレベルが高い内容だった記憶があります。
確かに今この、「トップインタビューに学ぶ!自分を語る表現術」なる英会話テキストを見てもかなり内容は高度だし、まあ僕としては随分背伸びして講座を聞いていたものだと思いますね。

そのテキストをパラパラとめくってみると、ジャズベーシストのロン・カーターさんのインタビューがありました。

モダンジャズをよく聞く人なら1度や2度は彼のベースプレイを聴いたことがあると思いますが、ロン・カーターといえば、あのマイルス・デイビスの伝説のバンドのメンバーの一人です。
モダンジャズも次第に実験的なサウンドに変化していったその最先端のバンド。
僕的には、ネフェルティティ―というアルバムは、そういうジャズの頂点に位置するものだと思っています。
今でも時々このアルバムを聴くことがあるけれど、いまだに少しも古びていないですね。
まぁ、テンションの高いサウンドだから、いつでも聴いていたいという代物ではないですけど。
最近はテンションの高いサウンドを聴くよりも、癒されるサウンドが聴きたい時が多いんですよ、、、僕は。

さてロン・カーターは、マイルス・デイビスのバンドに参加する頃の心境をこのインタビューの中で次のように語っています。

Q:Was it overwhelming to play with the legendary jazz musician?

Q:偉大なジャズプレイヤーとの演奏で圧倒されることはありませんでしたか?

  • legendary:伝説(上)の、伝説的な
    overwhelm:圧倒する、参らせる

ここの the legendary jazz musician は、マイルス・デイビスのことですね。
この質問に対するロン・カーターの答えが興味深いですよ。

A:The music was so demanding that I think we couldn’t have been overwhelmed by Miles himself. We were kind of overwhelmed by the music we were trying to make, rather than just Miles.

A:音楽の要求(水準)があまりにも高かったので、私たちがマイルス自身の存在に圧倒されることはありえなかったと思います。単にマイルスによってではなく、むしろ自分たちが創ろうとしていた音楽にいくぶん圧倒されていました。

  • demanding:要求水準が高い

うーん、さすがに歴史的なサウンドを作ってきた人はいう事が違いますね。
マイルスでなくて自分たちがこれから作り上げる音楽に圧倒されたと、、、

僕だったら完全にマイルスに圧倒されてたでしょうけど、、、

続いて、その音楽創造の過程を化学実験に例えています。

You know, my equation of that would be, we were in the laboratory every night, and Miles would present these chemicals to us, these four assistant chemists: me, Wayne, Herbie, and Tony. And we would have to make – a combination of ingredients to see what turned up every night. And I loved that challenge.

つまり、その様子を何かにたとえるなら、毎晩実験室にいて、マイルスが4人の化学実験助手である私、ウェイン、ハービーとトニーに、あれこれ化学薬品を提供するのと同じだったと思います。私たちは毎晩、何ができあがるか試すために、材料となる薬品を調合しなければなりませんでした。非常にやりがいを感じる挑戦でした。

  • equation of:同等のものとみなすこと
    laboratory:実験室
    present:差し出す
    chemical:化学薬品
    chemist:化学者
    ingredient:成分
    turn up:出てくる

4人の化学実験助手に例えられているミュージシャンですが、以下のメンバーです。

  • Wayne:ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)ジャズのテナーサックス・ソプラノサックス奏者
    Herbie:ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)ジャズ・ピアニスト、作曲家、編曲家、プロデューサー
    Tony:トニー・ウィリアムス(Tony Williams)ジャズドラム奏者、作曲家

音楽の創作を化学者の実験に例えるところがとても面白いですね。
聴衆は、何を演奏しているか目をつぶって聞いているけれど、演奏する側は実は化学者のように実験していたんですね。

こういう言い回しは、当の本人だけしか言えないですねぇ

例えて話す

ところで、何かに例えて言うことができると、英語力もレベルアップするに違いないですね。
このインタビューでは、my equation of that would be と言った後に化学者の例えを話しを始めています。

他に、例えて言う場合には、

figuratively speaking:比喩的に言うと

という言い回しがあります。この機会に覚えておきましょうか?

自分にとって関心のある人のインタビューは、思いのほかその人の語る英語に興味が持てるので、英語力向上に役立ちますね。
皆さんも、興味のある人のインタビューをチェックしてみてはいかがでしょう?

それでは、また次回!
See you next time!




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